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【あの人に聞くVol.3】つながりを結ぶ「みんなで子育てWAIWAIひろば」

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カミトダプレス内山です。今回の【あの人に聞く】は、埼玉県川口市ふじの市商店街で、みんなで子育てWAIWAIひろばを運営する、NPO法人WAIWAI代表の宮永貴代美さんです。

開かれた場づくりについて、想いを聞いてきました。

商店街にある、民間の「子育てひろば」

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内山
JR京浜東北線川口駅から徒歩7~8分、いい場所ですね。「WAIWAIひろば」のはじまりについて教えてください。

宮永
市政70周年記念事業で立ち上がった“かわぐち子育てWAIWAI市民委員会”にいた友人に誘われて、子育て情報誌を作る仲間になりました。

そして10年前にNPO法人としてふじの市商店街の中に常設の「みんなで子育てWAIWAIひろば」を開設しました。

建物は、空き店舗活用事業として、県・市・私たちWAIWAIが1/3ずつ資金を出し合って、店舗付き住宅の1階部分をリノベーションしました。私自身は、ひろばスタッフとして活動しています。

内山
ここでは赤ちゃんもお母さんも、のびのび過ごしていますよね。

宮永
スタッフ全員の育児経験を反映させていることもあり、規則が柔軟なんです。NPO法人WAIWAI、前代表の高橋は長年保育士として働いていましたし、スタッフも皆、子育て経験があります。

川口市は、JR京浜東北線で東京駅から30分ほどのベッドタウンで、関西など遠方からの転入者、転勤族も多い。知らない土地での育児は大変でしょう?“育児中のお母さんは、ここに来れば大丈夫”という場所を作りたくて。

内山
理想を現実にすることは大変ですよね。宮永さんはもともと、職場などでリーダーシップを取るタイプだったんですか?

宮永
自分ではリーダータイプではないと思っています。WAIWAIひろばの運営に関わって10年になりますが、出産前は、歯科衛生士として働いていました。思えば、さいたま市見沼区の助産所サンバハウスで妊婦検診を受けたことが転機だったかな。

内山
助産院では、自然派の育児を心がける人が集まる印象があります。

宮永
確かにそうでしたね。歯科医院で西洋医学に準じた仕事をしていたので、当初は自然派の育児や東洋医学の考え方などに懐疑的でした。しかし納得するまで調べて、試してみると効果を感じたり。妊娠出産を経て、学校や社会で教わったことは、物事の一面であって全てではないという視点を持てたと思います。

地域経済と商店街は、やさしい気持ちの循環が大切

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内山
こちらの利用料金は10:00~15:30まで、初回無料で1回150円、何時間でもOKとなっています。他にある民間の子育て施設はもっと高額ですよね?

宮永
家賃・水道代といった固定費の支払があるので、運営が厳しいと感じることはあります。NPO法人は公的な施設と違い、自分たちで運営のためのお金を稼ぐ必要がありますので。

他の施設と比べられる事もありますが、ここは生活の中の子育ての場所であり、お客様とスタッフではなく、みんなが仲間として支え合う場なんです。

内山
私は専業農家を営んでいた祖母の影響で、よく自宅に人を招くんです。友達とランチに行くと、なんとなくお店の人や周囲が気になって、1時間くらい経つと自宅へ招いて簡単なお茶を出したりします。

一方で、長くお店で時間を過ごし、ドリンクをもう一杯注文した方がいいのかな?と感じることもあって。

宮永
私の場合は、商店街に店舗を借りてから、近くのお店で買い物をして、相手を支えようという想いが強くなりました。

廃業したとある海外の書店には「閉店の為トイレは貸せません。ネットショップで借りて」という貼り紙があったそうです。

これが、経済なんですね。

縄文時代の母系社会と昭和30年代の下町をつなぐもの

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宮永
実は、皆で子どもを育てるというビジョンには原風景があります。私は1歳まで東京の下町で育ちました。高度成長期で、人と人との距離が近かったそうです。昭和30年代を舞台にしたマンガ・映画作品「三丁目の夕日」の世界に似ていたようで。

今、社会問題の一つになっている、母親が一人で子どもを見る”ワンオペ育児”は、高度成長期以後の40年ほどかと思うんですよ。それ以前、子どもはずっと、多くの人の手によって育てられていたんじゃないかな。

内山
そういえば縄文時代に興味があるとおっしゃってましたよね。以前こちらで小3の娘が編み物を教わっている間、私が下の子とよそのお子さんをみていた時に、縄文時代の母系社会ってこんな感じかな?と思ったことがあって。

宮永
今、西暦は2018年ですが、縄文時代とよばれる期間は12,000年続いていたと言われていますよね。

縄文時代は、子どもはみんなで育てるのが当たり前でした。生活のすべてが、分かち合い・協力し合うのが基本の考え方です。

日本語の持つ、やわらかな母音。「あなたが悲しいときは、私も悲しい」「あなたがうれしい時は、私もうれしい」という、自分と他人の境界が曖昧な感覚。

私たちは、そういうものを思い出すべきだと思うんですよ。

内山
今、すごく大切なことを聞いた感触があります…

NPO法人WAIWAIの2つの理念

運営するにあたって大切にされている、2つの理念についても聞いてきました。

①ひとりぼっちの子育てではなく、みんなで支えあい育ちあう子育て

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内山
飲食自由という点は、時に難しかったのではないでしょうか?

宮永
小さい赤ちゃんとお母さんの生活リズムを重視し、そう決めました。

しかしある時、ずっとおやつを広げているお母さんたちがいらっしゃいました。大人の集まりでは当たり前の風景でも、子どもは生活を通して学んでいきます。良い悪いではありませんが。

おやつは3時からという貼り紙をしようという案も出ましたが、長年保育士をしていた前代表・高橋の「それはやめましょう。禁止事項の多いところでは親子がくつろげません。」という意見でやめました。

しばらく様子見していると、おやつは3時に、というお母さんのグループが常連になりました。3時になると皆本当に嬉しそうで、他のお子さんも一緒におやつを食べたりしていました。それで自然な流れができました。

内山
周囲に配慮してこの場所を大切にしよう、という空気が伝わったんですね。

宮永
うれしいことです。ところで、私たちがここを運営する理由の一つに、災害に備えるということもあって。新しく引っ越してきたお母さん達が自然につながるって、実はハードルが高いことですよね?お母さん達が、〇〇ちゃんママとしてではなく、個人としてつながれるように、なかまほいくという活動も実践しています。

内山
どのようなものですか?

宮永
新座子育てネットワークが企画した、預かり合い体験のサークルです。12組の親子が2グループに分かれ、自分の子を見ながら、皆でもう1グループの子を見守り保育します。

はじめの3回は、互いがうちとけられるような内容で、全員参加のプログラムをします。残りの6回では、片方のグループが子どもの面倒を見ている間に、もう片方のグループがヨガなどの講座を受けられるようにしていて。

内山
楽しそうですね。参加者は近所の方が多いんですか?

宮永
なかまほいくに興味を持って、他市から来られる方もいらっしゃいますよ。

➁いつでも誰でも立ち寄れる、みんなのおうち

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宮永
NPO法人として掲げている「ひとりぼっちの子育てではなく、みんなで支えあい育ちあう子育て」は、利用者さんに対してはある程度、実現できているのかなと思います。これからは、お母さんや子ども以外の人に、いつでも誰でも立ち寄れる、みんなのおうちを実現していきたいなと思っていて。

実は、建物の2階をリノベーションしてレンタルスペースにする案があるんです。

地域の人がワークショップやお茶会などで使ってもらい、つながるお手伝いができたらいいなって。

内山
2階、日当たりが良く気持ちよさそうですね。良い感じにゆっくりできそうです。

宮永
はい。そういう感じを活かしたくて。地域で暮らす人に、ナナメの関係が増えたらいいなと思います。きつすぎず、ゆるすぎない、ナナメの関係です。

昔あったような縁側でお茶を飲んでいて、生垣の向こうから「花がきれいですね」と声を掛けられたりするような。

赤ちゃんから高齢の人まで、多くの世代が自然にふれあえる場ができたらいいなと思っています。

内山
ステキですね。ちょっと子どもに声を掛けると不審者として扱われてしまうご時世なので、ゆるい関係がつなげる場があるとうれしいなと思います。

ところで、私は何かを形にしようとしてもなかなかうまくいかないんです。最後にアドバイスいただけますか?

宮永
物事を形にする時は、想いが基本です、そして人に言う事。人と一緒に形にする事で、輪が広がります。

内山
ありがとうございます。今日は大切な話を色々聞けました。これからも遊びに来るので、よろしくお願いします。

インタビューを終えて

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宮永さんは、柔らかい物腰の中に意思の強さを感じる方でした。

縄文時代の女性リーダーはこのような方だったのではないでしょうか。

子育てや地域活動に悩む人は、ぜひ一度WAIWAIひろばで、理想を実践しているスタッフさん達の話を聞いてみてください。

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